2009年11月30日月曜日

ジョブハンティング

石田衣良 『シューカツ!』

・学生と社会人で一番違うのは時間の感覚かも。社会人になったとたんに5とか10年単位で自分の生   
涯の仕事を考えなきゃいけないこと

・感じていることを感じていない振りができて、自分に与えられた役を揺れずにこなしていける人間、強い人。

・素直で容易にへこまず、クッション材のように働きながら、周囲の人にかわいがられる資質をもつことが、単純に頭がよかったりするよりも大切

・シューカツはただ生きることが濃縮されただけ。期限をきり、勝ち負けをはっきりとつけることで人生をうんと色濃くしただけ

・シューカツはいくらがんばっても誰もほめてくれない

(以上抜粋、少し表現が変わっています)

今、現在進行形でシューカツに忙しい先輩の顔を思い浮かべながら読んだ。
実際の大変さはこの本以上だと思った。今年は特に就職難。この本の中では景気がいい設定だった。
でも、就職活動のことは「シューカツ」と、カタカナで平坦にしかとらえられないくらい自分の中で未知のものだったから、それを少しリアルに感じられたかなと思う。特に、面接の描写などはすごくリアルで読みながら緊張してしまった。途中に、就職試験の論文を書いている主人公が、冷静な文章でも気持ちは伝えられる、というようなことに気付いていた。そのとおりだと思う。熱いものを持っていることは大事だけれどそれを冷ましてから表現できる冷静さも兼ね備えていなければいけないんだと思う。
していない体験をリアルに感じられる、小説という分野もやっぱり好き。上に抜粋したような、心にひっかかるような言葉をちりばめられるのは素敵だと思う。それを見つけるのは日々の感性だと思う。時々、登場人物のことを名前で呼ばずに「男子学生」のように一般名詞で呼んでいたのが気になった。完全に主人公の感情移入せずに、第三者視点も入っているよ、ってことなのかな。
上の抜粋の3番目は、本当にそうなのかな?と疑問符が残ったけれど、2つ目にあげたような強い人にならないと、と思った。

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