2011年5月1日日曜日

一部請求の可否(ショケンp66)

‣まず、訴訟物については一個説を取る。
∵被害者保護
←旧訴訟物理論では、実体法上の権利ごとに訴訟物を数えるのが原則。
 しかし、それでは裁判所が判断する際に実体法の枠を超えて額の認定ができなくなる。(709で100万、710で200万の原告請求に対して709で80万710で220万と判断したとしても710の請求額から超えた20万を709に回せない)
 
※二個説は、条文ごと(709と710)
※三個説は、現在の損害を消極的損害と積極的損害に分け、あと将来の損害


‣一部請求の可否
一部であることが明示されている場合訴訟物は明示された一部のみ。確定判決の既判力は残部請求に及ばない (最二小判S37.8.10)
∵処分権主義
①明示があれば、被告の防御の利益を不当に犠牲にしない
②明示ない場合は被告の信頼を保護する必要
ただし、あまりにも少額で何回も(1円ずつ請求とか)やる場合は信義則でカット
また、費目限定の場合は一部が明示されていなくても、一部請求であることが相手方及び裁判所にわかるので、一部請求なしうる。



‣一部請求後の残部請求の可否
▷前訴敗訴の場合
原告が前訴時に費目を限定していなかったなら、裁判所は一部請求であっても残部についても審理したうえで判決を出している。(判決で出された額は全体のうちのどこの額かは不明)
よって、残部請求は特段の事情のない限り信義則に反し不可。(最二小判H10.6.12)
注)残部に既判力が及んでいるわけではないよ!!!!

▷前訴全額勝訴の場合
全額勝訴の場合は、残部についても原告勝訴の余地があるため、残部請求可能。

▷前訴が費目限定型の場合
裁判所の審理は限定された前訴当該費目にしか及んでおらず、残部についての審理はいまだなされていない。よって、残部請求も可能。
上記信義則の射程は、費目限定型には及ばない。(H20)

0 件のコメント:

コメントを投稿